― お薬だけでなく、暮らし全体で「転ばない・折れない」を支えます ―
高齢の方の骨折の多くは、転倒がきっかけで起こります。骨を強くする治療と、転ばないための工夫は、骨折予防の「車の両輪」です。
当院では、施設の皆さま、訪問看護、リハビリ職、ケアマネジャー、薬剤師、歯科など、患者さんに関わる多くの職種と協力して、転倒予防・骨折予防に取り組んでいます。

骨折予防の2つの柱
骨を強くする
骨粗鬆症の治療を始めて続けることに加え、栄養・日光・適度な運動で骨を支えます。
転倒を防ぐ
筋力やバランスの維持、住まいの環境づくり、ふらつきの原因になるお薬の見直しで転倒を防ぎます。
それぞれの職種の役割
| 職種 | 主な役割 |
|---|---|
| 医師(当院) | 骨折の危険性の評価、治療方針の決定、注射治療、転倒につながるお薬の見直し |
| 訪問看護師 | 注射・服薬の確認、体調の変化や転倒の早期発見、ご家族への助言 |
| リハビリ職 理学療法士・作業療法士 |
筋力・バランスの訓練、歩き方や杖・歩行器など補助具の調整 |
| ケアマネジャー | 手すりの設置や段差の解消、福祉用具の利用など、ケアプランへの反映 |
| 薬剤師 | 飲み方の確認、飲み忘れ対策、ふらつき・眠気が出やすいお薬のチェック |
| 歯科 | 口腔ケア、骨粗鬆症のお薬を使っている方のお口のトラブル予防 |
| 施設職員・ご家族 | 日々の見守り、転倒やいつもと違う様子があったときの連絡 |
施設の皆さまとの連携
1
転倒の危険性を共有します
これまでの転倒、夜間のトイレの回数、ふらつきやすい時間帯などを共有し、見守りやケアの工夫につなげます。
2
転倒したときは、ご連絡ください
転倒後に痛みがある・立てない・いつもと様子が違うときは当院へご連絡ください。状況に応じて診察し、必要な場合は医療機関での検査につなげます。
3
治療の予定を共有します
注射の日や、週1回・月1回の飲み薬の日を、施設・訪問看護と共有し、確実に治療が続くようにします。
4
環境とケアの工夫
ベッドの高さ、足元の明かり、センサーの活用、滑りにくい履物、ヒッププロテクター(脚の付け根を守るパッド)など、その方に合った対策を一緒に考えます。
ご自宅でできる転倒予防チェック
- 床に物や電気コードを置いていない
- 夜、トイレまでの通り道に足元の明かりがある
- 玄関・トイレ・お風呂など、必要な場所に手すりがある
- かかとのある、滑りにくい室内履きをはいている
- 起き上がるとき・立ち上がるときは、一呼吸おいてからゆっくり動く
- 眠れるお薬などを始めてから、ふらつきが出ていない
骨を強くする毎日の習慣
しっかり食べる
カルシウム(乳製品・小魚・大豆製品)、ビタミンD(魚・きのこ)、たんぱく質(肉・魚・卵)を意識しましょう。
日光にあたる
日光を浴びると、体の中でビタミンDがつくられます。窓辺やお散歩で、無理のない範囲で日にあたりましょう。
体を動かす
立つ・歩くなど、できる範囲で体を動かすことが骨と筋肉を保ちます。リハビリ職と安全な方法を考えます。
転んでしまったときは
無理に動かさず、まずはご連絡を
脚の付け根や腰が痛くて動けない、足の向きや長さがいつもと違うときは、骨折の可能性があります。無理に立たせたり歩かせたりせず、当院へご連絡ください。強い痛みや意識がおかしいなど急ぐ場合は、救急車を呼んでください。
転んだあとに大きなけががなくても、転んだこと自体を次の訪問時にお知らせください。転倒の原因を一緒に考え、次の転倒を防ぎます。
転倒予防・骨折予防について、施設の皆さま・ご家族からのご相談もお気軽にお寄せください。
骨粗鬆症シリーズ(全5回)
- 骨粗鬆症の治療を「始める」「続ける」ことの大切さ
- 訪問診療で行う「骨をつくる」注射治療(テリパラチド・ロモソズマブ)
- 訪問診療で行う「骨を守る」注射治療(デノスマブ)
- 訪問診療で行う骨粗鬆症の飲み薬の治療
- 施設・多職種と連携した転倒予防・骨折予防の取り組み(この記事)
ゆずの木ホームクリニック
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2026年10月 作成